先生と執事【続・短編】





「先生の…温もりが欲しい…」





「え?」





トロンとした目に、少し涙がうかんでいる気がする。





頬にあてた手からは麻椿の身体の震えが伝わってきた。






「…どした?」





「うんん、何もないの…。だけど…」





ついに、一滴の涙が麻椿の目から流れおちていった。






枕にできた小さなシミは少しずつ大きくなっていく。







「寝よう、麻椿。きっと明日になったら気持ちも明るくなれるから。」





「せ…せ…っく…」





「朝まで抱きしめててやる。隣にいる。だから何も怖がる事なんてないだろ?」





「ん……。」





「ほら、目つぶって…」






二人で寝るには少し狭いベッド。





でも今はその狭さがかえって都合がいい。





麻椿の不安が少しでも減るように、俺は一晩中抱きしめながら眠った。










< 25 / 124 >

この作品をシェア

pagetop