先生と執事【続・短編】






「ほら幸穂、お父さんに行ってらっしゃい言おうね。」






まだ話す事も立つ事もできない生まれたばかりの私達の妹。






必死に何かを言おうと、お母さんの腕の中で動いている。






その姿は見ていて飽きないし、何といっても可愛い。






「「「行ってらっしゃい。」」」







そして、バタンとドアが閉まる音と共に、お父さんは仕事場へと出かけていった。






その音を聞き終えてから私達二人は下へと階段を降りていく。







「おはよう、二人とも。」






「おはよう、お母さん。」






「…はよ。」






「よし、お父さんのお見送りも終わったし朝御飯にしよっか。永愛、幸穂の事お願いできる?」






「うん、任せて。」






お母さんからゆっくりと幸穂を受け取り、自分の腕の中へと包み込む。






最初は抱くのが怖すぎて緊張していたけど、何回も頼まれるうちにこの重さにも慣れる事ができた。






慣れると、赤ちゃんの身体は柔らかくて、暖かくて…幸穂を抱きしめると幸せな気持ちになってくる。






「おはよう、幸穂。」







赤ちゃんって凄いね。






この時々見せてくれる笑顔だけで、こんなにも周りの人を幸せにしてくれるんだから……。







< 92 / 124 >

この作品をシェア

pagetop