愛しいひと

委員会


『委員会?』

「そっ、委員会」


翌日、あたしは凛から委員会に入るよう言われた。


『それって、強制なワケ?』


委員会とか面倒なんだよね。集まりとか活動とか。


「別に強制ってワケでもねぇけど」

「いいえ、強制です。」


けらけら笑っていた凛の背後から、厳しさを含んだあの声が聞こえてきた。


「なんだよ、由梨。別にいいだろ?」

「良くないわよ。皆、いずれかの委員会に入ってるんだから。」


やっぱ、強制か。
あーあ、面倒。


「でも、あたしは委員会に入ってねぇし。」

「それはあなたが、入りたくない、と暴挙に出たからでしょう?」

「まあな!」


いや、威張るところじゃないだろう。由梨も同じことを思ったのか、頭を押さえ、ため息を吐いた。


「あなたと話すと疲れるわ。」

「憑かれる?お前、霊感強い方だったっけ?」

「あなたに憑依されそうよ。」


すごい自然な漫才だ。
違和感が全く無い。


「春瀬さん。」

『なに?』

「委員会、図書で良いかしら?」


図書かぁ。
まぁ、断る理由も、希望する委員会も無いし。


『うん。いいよ』

「ありがとう。助かるわ」


笑顔で承諾すれば、由梨も笑顔を返してくれた。


『綺麗に笑うねぇ』


つい、口が滑った。由梨は吃驚したような顔をして、また笑った。


「あなたは可愛く笑うのね。羨ましいわ。」


由梨はそれだけ言って、颯爽と立ち去った。





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