悪魔のようなアナタ ~with.Akito~



それにしても、今日の晃人はまた一段と格好いい。

黒いコートの下に濃紺のストライプのスーツを着、首元には綺麗なワイン色のマフラーが緩く巻かれている。

艶やかな黒髪も涼しげな一重の瞳も、見ているだけでなぜか胸の鼓動が高まっていく。

――――まさに、大人の男という感じだ。


ぼうっと見上げる灯里に、晃人はくすりと笑った。

腕を伸ばし、そっと灯里の肩を抱き寄せる。

ふわっと香った甘くスパイシーなブラックティーの香りにドキッとした瞬間、晃人の声が耳に忍び込んできた。。


「だが、今の男の気持ちもわかるな」

「……え?」

「お前のその格好、すごく似合ってる。綺麗だ」

「……っ、晃くん……」

「夜だったら、帰せなかったかもしれないな?」


艶のある色っぽいバリトンの声が灯里の耳に忍び込む。

涼やかで艶のある瞳が至近距離から灯里を覗き込む。

灯里はぴしりと硬直した。

心臓が壊れそうなほどにドキドキする。


晃人のこの声は、この目は……反則だ。

――――これは、まずい。


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