蜜柑色の淋檎【短篇】
彼女もまた、嘘を付いている自分と、話出せない弱さに苦しんだのだろう。

全てを切り取って去った彼女を思うと、胸がギュッと縮んだ。

─泪に変わらないのは、俺がやはり男だからだろうな。

夕日が淋しさを一層引き立てる中、助手席の“淋檎”が夕日に照らされオレンジに光る。

─リンゴの癖にオレンジ色か……。

手の平に乗せた“蜜柑色の淋檎”



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