君に、この声を。



意外な言葉が奏太の口から出た。


びっくりするほど、奏太の声だけが鮮明に聞こえる。



「だから、さ」



もう、私が話していい空気なんかちっぽけもなかった。

いつのまにか、奏太の世界に入り込んでいた。



奏太の目が、私の目とあった。





私達の間に、一瞬の風が吹いた。





「俺、合唱部入るわ」




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