才能のない作曲家
別れ道





おはよう、空。

僕は今日も何とか息をしているようだ。

パリの空は、今日はよく晴れている。

不思議だね、こうしていると時間の感覚がまるでない。
僕は今、誰なのだろう?
いや、人間であるのかさえ、見失ってしまいそうな生活をしている。

君の最も頼りにしている友人から、何度も連絡が来るよ。
君の元気が全くなくなってしまったと。
自分が頼りないばかりに、こんな結末になってしまったのかと。

本当に、優しい人だ。

僕が出会ってきた中で、君の友人より心が優しく、責任感のある人間はいないだろう。

そして、僕と同じように君を想う人間も、彼女以外には存在しない。

僕はそんな彼女がいるからこそ、日本を飛び立つ決心をしたんだ。




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