フライングムーン
第四章
“あそこに上がっても良い?”と彼は聞いてきた。
彼の指差す方を見ると天窓があるロフトだった。
“どうぞ”と言うと彼は、はしごに足をかけてロフトに上がった。
荷物を置く為だけにあるロフトは、立ったまま移動する事が出来ないくらい天井が低い。
彼は中腰の状態で歩いて天窓の真下に寝転がった。
そしてロフトの上から私を呼んだ。
私もはしごに足をかけてロフトに上がった。
“どうしたの?”と聞くと彼は“見て”と天窓を指差した。
私はさっきの彼と同じように中腰の状態で歩いて彼に近付いた。
“何?”と天窓を見てもう一度聞くと彼は青い空に浮かび上がる白い月を指差した。
“ほら見て、なんか月がフライングしてるみたいでしょう?まだ夜じゃないのに出て来ちゃってる”と彼は笑った。
月がフライング?
私は天窓に切り取られた空を見た。
そう言われればそう見えるかもしれない。
私は彼の隣に寝転んで“本当だね”と笑った。
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