好きになっても、いいですか?
「……内容を、覚えてはいらっしゃらないですか」
「そんな時間はなかった」
「申し訳ありません。私が先にチェックさえしていれば」
「いや、敦志のせいじゃない……あ!」


ふと、何か閃いたような顔をした男は、早口で敦志に問う。


「さっきのあの女!あの女の課と名前、わかるか?」
「さっきと申しますと……」
「脚立女だ」
「――はい。彼女は、芹沢という名前でした。課は……おそらく庶務課でしょう」


ちょうど敦志の言葉が終わると同時に、2人の乗った車は社に到着する。降車の用意が遅れた敦志を置いて、男が先に車を降りた。

敦志が急いで後を追おうとするが、既に姿は見えない。


「社長……」


高いビルの下で敦志は呟くと、行き先はもうわかっているようで、すぐにその場所へと足早に後を追った。

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