好きになっても、いいですか?


純一は、他の社員に見つからないようにすぐに来た道を引き返していた。

駐車場への道のりはさほど遠くはなく、自分の車に乗り込むとハンドルに両腕をつけて寄りかかる。



(――――また。
また、繰り返す気か……俺は。

一度目は“母”に。
二度目は“彼女”に。

三度目の今回まで、もし同じようになったのなら――――……)


純一は、体をシートにボスっと預けてハンドルに拳を振り下ろした。



(“女”は金の為なら何でもできるものだ。人を裏切ることも厭わない。

でも、アイツは――?)



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