好きになっても、いいですか?
先程より、幾分か余裕のなくなった麗華の目からは笑みが消えている。
「今は社長に気に入られているかもしれませんけど、所詮あなたは、ただの気まぐれに過ぎないわ」
この時、麻子は気付いた。
この人は社長秘書になりたくて――そして、藤堂純一に想いを寄せているのだ、と。
だから余計に、こんな新参者の、どこの馬の骨かもわからないというような自分を、目の敵にするのだと。
「まぁ、あなたも知っているでしょう?」
「?」
「婚約者がいるということを」
麻子の脳裏には、鮮明に焼き付いている雪乃の姿。
雪乃と一緒にいた純一をも思い出しては、何とも言えぬ思いにさせられる。
でもそれは、きっと罪悪感から――――何度もそう、心で言い聞かせて。