好きになっても、いいですか?
でも、やはり純一の傷は計り知れない―――。
産まれても自分に見向きもしない
名前すら呼ばない
金が常に最優先
そして、最後には捨てていった。
一度もその名を口にすることなく
初めから必要のない自分という存在
いや、“金の為だけ”に必要だった存在だ――――。
その時、敦志が見た純一の顔を、敦志は今でも忘れられない。
ぞっ、とするほどなにも感じていないような、冷徹な表情。
薄ら口元を弓なりに上げて……。
『敦志がいれば、いい』