好きになっても、いいですか?


純一には感謝もしなければならない。そして、今度こそ、兄として幸せになってほしい。

敦志は常に、そういう想いを持ち続けている。



『芹沢さんは、純一くんのことどう思ってる?』



『そんな彼を少しでも支えられたら――本心でそう思うから、今こうして純一くんの傍にいるんだけど』



『だけど――――』




だけど





「計算外だ、こんなことは」



敦志は拳に力を込めて、車の窓を一度叩いてそう呟いた。


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