好きになっても、いいですか?


「――――……」


三人が乗る車が発進したのを、窓から眺めていた人物がいた。

発車したところだけではなく、その純一の行動の一部始終を――聞こえはしないが見ていた。
それだけで、充分状況を理解したその人物は、身を翻すと歩き出す。


「……報告しなくちゃ」


そう呟くのは、ピンクのルージュをひいた唇。その唇は、なぜか弓なりに口角が上がっていた。


ウェーブの髪を靡かせて、向かう先は第二秘書室――。



「戻りました。宇野さん、報告があります」

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