好きになっても、いいですか?


「芹沢さん、この書類整理して。あと、あっちの領収書の束も。それと……」
「はい。それと、5階の女子トイレと、15階廊下の蛍光灯ですね」
「さすが!じゃあ、お願いね」


40代前半の女子社員に言われて席を立ったのは、入社して間もない新入社員。

名は芹沢麻子(せりざわあさこ)。
彼女は入社後庶務課に配属されていた。

麻子は、倉庫へ脚立と蛍光灯を取りに行く。


(今度からLEDに切り替わるから、頻繁にこういうことはなくなるわ)


身長174センチにすらりとしたスタイルはまるでモデルのようにも見えるのだが、ここは普通の会社。容姿がどんなによくても関係ない。
せめて活かせるのはその身長を利用しての電気交換指令。

でもそれを嫌がることもなく、率先して麻子は倉庫へ向かう。
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