好きになっても、いいですか?

純一が応接室に入ったところを、廊下の隅で見届けていた人物が口元を緩めて携帯電話を操作する。


コール音が耳元で鳴ると、2コール目に入る前に繋がった。



「もしもし。今、よろしいでしょうか……」
『なんでしょう?』
「その……折り入ってご相談が……これからよろしいですか?」
『……どちらに?』
「会社の近くの“five”というバーに居ますので、そちらに……」
『……わかりました』
「ありがとうございます。早乙女さん」


そうして用件を告げると、ピッと携帯を切って、純一の後を追うように応接室へとするりと入って行った。



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