好きになっても、いいですか?
この17年間、一度だってその日を忘れたりしたことなんかなかった。
もっと言えば、一日だって頭を掠めない日はなかった。
(なのに、いくら色々とあるからって、私――)
「おれも闘うさ」
「え?」
カレンダーに目を落としていたかと思えば、克己のその視線は自分に向けられていたのに気付いた麻子は慌てる。
「まだ、お前を置いて行けなさそうだしな」
「そういうの、やめてよ」
「今年も一緒に墓参り行こう」
「……うん」
力なく淋しそうな笑顔で麻子は答えた。
そんな麻子を見つめて、克己がまた言葉を掛ける。
「母さんも、待ってる」
「……うん」
「“麻子も闘う”の、をだよ」
「えっ……」
不意を突かれたその言葉に、麻子は克己の顔を見た。