好きになっても、いいですか?

一つになる感覚に、痛みよりもその切なさに、胸を締め付けられる。

今は自分だけを見つめて、自分だけを感じてくれている。


そして自分はこの夜を生涯忘れることはないだろう――。


初めて、自分が自分の為だけに行動をした日。


そう想いながら、麻子は必死に純一の背中に手を回してしがみつく。



「顔、見せて」



そう言われてしがみついていた腕を少し緩めると、優しく笑う彼の顔がまた距離を縮めて唇を奪う。


こんなにも甘く、蕩けるような時間は、きっとこの先また欲することがあるだろう。
二度は叶わないとわかっていたけれど、今この腕に抱かれている。
止めとけばよかった、と思うかもしれない。


でも、自分はこの手を取る選択をした。



ただ、一度だけ。






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