好きになっても、いいですか?


「これは……」


それは麗華から預かった辞表。
だけど、自分はこんなところに置いたりなどしていない。


純一は乱暴に封書から中身取り出して、はやる気持ちで文字を目で追う。


【この度一身上の都合により、退職したく、ここにお願い申しあげます。

第一秘書課 芹沢麻子】



それは一度確認したときと変わらない文だった。
しかし、その後ろにまた一文、新たなものを発見した。


【お借りしてます手術費用は、必ずお返しいたします】



「――――くそっ」


くしゃっとその辞表を握ると、純一はすぐにスーツを身に纏い、マンションを出て車に乗り込んだ。


< 373 / 445 >

この作品をシェア

pagetop