好きになっても、いいですか?
「あそこか……!」
やっと見つけたICU。
硝子張りになっていて、中には当然入ることは出来ない。
廊下には麻子の姿はなく、恐らく中に入っているのだろう、とその硝子を覗きこんだ。
「……」
「とりあえず、無事終わってよかったですね」
無言で視線を動かしている純一に、敦志は小さな声でそう言った。
ちょうど中から出てきた、別の看護師に純一は近づくと、前置きなく突然声を掛けた。
「芹沢麻子は?!」
「え?」
「あの、芹沢克己さんの一人娘だ」
「あ……ああ。一度、お父様が意識を取り戻したのをみて安心されて。それから少し、必要なものを揃えてくると外出されましたよ」
(――またすれ違いか……!)