好きになっても、いいですか?

「政略結婚とかお見合いとか……正直嫌だったんだけど――」


そう言って、雪乃は視線を斜め下へ落として頬をピンク色にほんのり染めた。


結局は、元々名の上がっていた純一が辞退を申し出た後の廉次。その廉次との対面で意気投合して、運良くお互いに好意を持ったという話だった。


「こんな気持ちになったのって初めてで……。それで、お兄様である純一さんに、色々と相談に」
「――大して廉次とは仲がいい訳ではないから、役に立たないと再三言っているのにな」


雪乃の後方から純一が口を挟む。
雪乃は振り返って、純一を見て、また麻子に向き直るとにこりと笑って言う。


「私、これから麻子ちゃんと会える機会多くなると思って。改めてご挨拶にきたの」

(機会が多くなるって、どういう意味……?)


「常務の席に、廉次くんを、と予定しています」


麻子の疑問を読み取って答えたのは敦志だった。




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