好きになっても、いいですか?

少し心を整理したのか、敦志がひとつ息を吐いた後に、いつもの顔で言った。


「やれやれ。本当、捻くれてるよね。いいの?せっかく芹沢さんを、純一くんの専属秘書にすることもできたのに」


嫌味混じりでそう言われた純一は、負けじと言い返す。


「――プライベートで専属だから、問題ない」


その言葉と同時に、後ろから麻子を引き寄せた。


「はいはい」


その惚気に呆れたように敦志が返事をした。



「……今夜、少し時間をくれ」


麻子の耳元で、敦志に聞こえないように純一が囁くと、そのまま社長室へと戻って行った。


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