好きになっても、いいですか?
その手に、麻子は警戒して肩をぴくんと上げてしまう。
しかし、麻子が思ったことではなく――。
「コレ……は」
純一が手を伸ばした先は、昨夜切れたはずのネックレス。
それは今も、麻子の首元で赤く静かに光を放っていた。
「あ……。その、やっぱり外せなくて……代わりのチェーンを……」
「……君らしいな。まあ、でもネックレスでよかった、かな」
麻子が純一の言うことに、内心首を傾げていると、今度は自分の手を取られて再び胸が跳ね上がる。
手の甲を向けるようにして掴まれたその指に、銀色に光るものがはめられた。
「なっ――……!」
「これは“とりあえず”のものだ。近い未来に正式なものをやる。異論は受け付けない」
その強引なセリフに呆れながらも、麻子は拒否する想いがあるわけではなく――。
「こ、こんな急に」
「今朝、誰かが君を諦めないような発言をしてたからな」
そうして純一は、さらに麻子との距離を縮める。