好きになっても、いいですか?

そして麻子が手にした最後の一枚を奪い取るように回収すると、『社長』と呼ばれた男は、麻子に謝罪どころか目を合わせることもなく歩き去っていった。


「失礼します。……芹沢さん。どこか怪我をされていたら、必ず報告してくださいね」


メガネをかけた男は、麻子のネームプレートを確認してそういうと先にいる社長と呼ばれた男を追いかけるように小走りで去っていった。


「……しゃ、ちょう?」


すぐにその2人の後ろ姿は見えなくなってしまったが、麻子はしばらくその場に立ち尽くして2人が消えて行った方向を見つめていた。



この時が、麻子が思う、史上最悪な出逢い――。
< 7 / 445 >

この作品をシェア

pagetop