好きになっても、いいですか?

「敦志、今日のスケジュールの調整は可能か?」


食べ終えた保温ボトルを見ながら、純一が敦志に聞いた。
その視線を読み取り、敦志はその意図を先読みする。


「本日は、11時から2時間程度でしたらフリーの時間を作れます」
「じゃあお願いする」
「病院まではタクシーで?」


1言えば10わかる。
敦志は本当に秘書の鏡だ。いや、小さな時からそばにいる、親戚である純一のことだから、余計に手に取るようにわかるのかも知れない。


「ああ。車を手配してくれ。それと」
「彼女には、内密に。承知してますよ」


そこまで完璧な敦志に失笑すると、純一はそのフリー時間を作るため、またパソコンの画面と手元の書類とを交互に見ながら仕事を進めた。





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