好きになっても、いいですか?

「泰恵さん、うちの社長ってもしかしてすごく若い?」
「え?!麻子ちゃん、知らなかったの?!」
「はあ」
「ああ、忙しい方だからね!でも春の社内報に唯一写真載ってたでしょう?」


(社内報……)


麻子が空を見つめ、目を細めて考えるがピンとくるものもなかった。
泰江はそんな麻子を見て笑いながら肩をポンポンと叩いてきた。


「さては、見てないね?」
「す、すみません……」
「あはは!別に謝らなくても!麻子ちゃんが思い出せないだなんてあり得ないものね」
「そんなことないですけど……」


そして麻子は自分のデスクの引き出しを開けた。
整頓されている引き出しの中からは、すぐに社内報を探しだすことができる。


「春……」
「4月のよ」
「あった。これですね」
「そうそう!多分初めの方よ」


泰恵が覗き込む中で、麻子はパラパラと社内報を捲った。
すると、社長という名を語っているにしては小さい、と思う程の大きさの顔写真が確かに掲載されていた。

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