欲求
 
服を着ている時にはわからなかった、彼の色気が私を惑わせる。


さすがに自分から誘うような真似は出来ないと、その胸元から無理やり視線を外し俯いて砂を掴んだ。


日中の灼熱に焦げた砂は今は冷たくなっていて、そんな私を冷静にさせてくれる気がしたのに……。


砂を掴んだ手に彼の手が重なり、優しく掴まれ引き寄せられる。


砂がサラサラと零れ落ち、気が付いた時には私の手は彼の首に触れていた。


「ずっと俺のこと見てただろ?」


私の欲求を見透かす彼が、手を掴んだまま首から僅かに下へと滑らせ、鎖骨をなぞるように弄ぶ。


指先に伝わる硬く息づくおうとつが、隠しきれない欲求を呼び醒まし。
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