夢中パラダイス!?

それからの日々は本当に幸せだった。


毎日薫とたくさんの会話をした。

学園での出来事や他愛もない世間話も。


本当に私は毎日が楽しかった。



今まで感じたことのないような楽しみを、薫と共に過ごすことで少しづつ覚えていった。




そんな幸せそうなわたしの様子に気が付いたのか、ある日父さまと母さまは私にある話を持ち込んできた。


「姫乃は、薫くんと学園に行きたいか?」


「え?」

「学園に薫くんを入学させようかと思っているの。まだ、彼には話していないんだけれどね。」


「ほ、本当に!?」


「あぁ。最近の姫乃が明るく楽しそうなのを見ていると、どうやら薫くんが一緒にいてくれているのが関係あるのかと思ってね。」

「父さま・・・」

「薫くんには本当に世話になっているからな。本来なら私たちがもっと姫乃のことを」
「大丈夫です、父さま」

「姫乃・・・」


「確かに今は彼のおかげでとても楽しい。でも」

「でも?」


「それでも私は、父さまも母さまも大好きです。」

「そうか。ありがとう。」


「父さま、母さま。」

「なに?」


「いつでもいいの。だからいつか、何年でも待つから、お休みをもらえたときは今度こそ、どこかへお出かけしましょ?」


「あぁ、もちろん。」
「そうね。行きましょう。」


その後父さまと母さまは本当に薫を私と同じ学園へ入学させた。

すべて、私のことを考えてくれている父さまと母さまの優しさから。


ただ、父さまも母さまも私と薫との関係は知らない。
それだけが私の中で少しだけ罪悪感のような形で残っていた。


でも、そのことを薫に打ち明けたとき、薫は「悪いことはしてないから」と言ってくれた。


だからだろう。私の気持ちが少しだけ軽くなったのは。

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