好きな人は、天然タラシ。
 

「足りない。」


「へ?」


「もっと食べたいもの、あるから。」


「………あ、締めのラーメンとか…ですか?ていうか、福嶋さんって、そんなに食いしん坊でしたっけ?」


ははっ、と私は笑った。


…そうしていないと、福嶋さんの視線に耐えられそうになかったから。


「――――。食べたいのは一つだけだよ?…ねぇ、食べてもいいよね?」


「―――!」


手を引き寄せられて、ぐっと縮まった私と福嶋さんとの距離。


眼鏡の奥に見える真剣な目に、吸い込まれそうだ。

 
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