ブルーブラック2

「斉藤に入れ知恵したのも、君だな」

「さぁ?だって、斉藤くんは前から神野さんと知り合いだったみたいですし。もともと好意はあったんじゃないですか?」

「···どんな内容の“入れ知恵”かって聞き返さない辺り、図星だろう」

「····」


自分の前に立つ小さな体の美咲を避けることも出来ずに、その奥にいた筈の百合香と隼人の姿はとっくに見えなくなってしまっている。

美咲の姿の奥に焦点を合わせたまま顔をしかめると、美咲がその視界に入るように一歩横にずれて智と向き合う。


「···追い掛けて、どうするつもり?また奪うの?人のものなのに」

「人のものを奪ったのは、君なんじゃないのか?」


智にそう言われた美咲は瞬時にあのことだと理解し、自分の鞄にそっと手を添えた。


“桜”――――

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