ブルーブラック2

「これがなければ、君の腕を受け入れるわけがないだろう?」


(え···?それって―――)


「―――まさか、さっき私を振りほどかなかったのは···」


百合香の予想したことと美咲が気が付いたことは同じこと。


美咲の鞄から見えた“桜”

江川や綾からの助言もあって気にはしていたが、先程ようやくその姿を確認できた智は、それを取り返すために美咲が接近してきても拒むのをやめたのだ、と。


「君が黙って返すとは考えにくいからね」

「な?!わ、私が盗ったっていう証拠でも―――」


「····」


往生際の悪い美咲に隼人は軽蔑にも似た視線を送る。

そして百合香はあることで白黒ハッキリつけられるのをわかってはいたが黙って“桜”を見つめていた。

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