ブルーブラック2
「お疲れ。どう?」
「あ、柳瀬さん。はい。今日は店内が落ち着いていて助かってます。まさか富田さんと坂谷さんが同日に休みを希望されるなんて、今までなかったですから」


智が店内巡回は珍しいことではないが、こんなに早い時間に頻繁に売場を見て回るのはここ最近では珍しいことでもあった。

それは、1階はイベント最終日ということと、2階は百合香しか社員がいないことを知る上で心配をして様子を窺いにきていたのだ。


「君なら大丈夫だろう。皆頼りにしてるんだから、自信持ったら」
「はぁ··嬉しいんですけど、やっぱり···」
「ふっ···本当変わらないな」


優しいその笑顔は毎日見てる。
それでもその笑顔に見とれてしまう自分はおかしいんじゃないか。

百合香は見とれた後にはっと気づいて少し俯きながら頬が熱くなるのをどうにかおさめようと頑張るのだった。


「じゃあ、何かあったらいつでも言って。今日は終日フリーでいるようなスケジュールだから」


智はそう百合香にいい残すとエレベーターのあるバックヤードへと去って行った。

< 83 / 388 >

この作品をシェア

pagetop