裁き屋始末録

裁き屋

 
第1閃!


「…メールを受信しました。


さあ、
バラの園へ!
きみの笑顔を
のせて
かなしみを忘れて
行こう!」


「…仕事、か。」

男はメールの文面をじっと見つめ、タバコに火を点けた。

男の名は村雨昇
(むらさめのぼる)。
職業:プロ雀士。


同じ頃、同じメールを受け取った者が何人か居た。


住江夢次
(すみえゆめじ)
職業:引越し業者


見史屋香奈
(みしやかな)
職業:バイオリニスト


秋野嵐
(あきのあらし)
職業(?):パチプロ


宿尾優
(やどおゆう)
職業:タロット占い師


正岡朱乃
(まさおかしゅの)
職業:パティシエ


瀬尾崇
(せおたかし)
職業:塾講師



…彼ら男女は住所も職業もバラバラだが、一つだけ共通点がある。


そう、彼らは[裁き屋]。


先程のメールは、彼らの元締からの通達だ。

一見、ただの詩が書かれているように見えるのは、他者に見られた時の為のカモフラージュ。

先頭の文字を縦に読むと、召集の通知であることが分かる。


[裁きの会]


裁き屋に、仕事の依頼があった時に開かれる会合だ。

< 2 / 80 >

この作品をシェア

pagetop