裁き屋始末録
 
その頃、裁き屋のアジトでは…

「村雨さん、しばらく私の留守を頼みます」

「元締、どちらへ?」

「…闇の月例会です」


闇の業務を仕切る元締の会合、闇の月例会…

その会合の存在自体、業務をこなす裁き屋でも知らない者が多い。


「月例会の話を俺に聞かせるってのは、どういう意味で?」

村雨の問い掛けに、元締は静かに答える。

「私に何かあった時は…
その時は、貴方と瀬尾さんに裁き屋を託します。

世の中に外道がいる限り…
弱者の嘆きの涙が流される限り、裁き屋は必要なのです」


村雨は目を閉じて元締の話を聞いていたが、

「どうやら[闇狩り]が
動き出したようですね」

「闇狩りを御存じでしたか…
彼等から逃げるか戦うか、今回の月例会で決定されます。

では、時間ですので…」


一人残された村雨は携帯を取り出して、誰かに電話を掛けた。


「俺だ。
…あぁ、時が来たようだ」

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