裁き屋始末録
睨み合う村雨と苅田…
その命を狩る勝負は、一瞬で全てが決まる。
先に仕掛けたのは苅田!
武器の長さから、苅田の方が有利なのだ。
シュワッ!
村雨の顔の前で、右から左へ水平に鉤爪が振られる!
村雨は僅かな差で避けたが、今度は左の拳を腹に食らった。
「うぐっ!」
「ナマったか、村雨?」
よろめく村雨の胸に、鉤爪が無情にも…
ガギッ!
「な!?」
「悪ぃな、苅田。
先に行っててくれや。
閻魔の前で落ち合おうぜ…!」
ジュブ!
一瞬の隙を突き、千点棒は苅田の眉間に突き立てられた!
「村雨………
また勝ち逃げかよ…」
苅田はニヤっと笑い、床に倒れ…事切れた。
「…終わりましたね。
お見事でした、村雨さん」
近付く小倉に村雨は、
「コレが無かったら、俺が殺られてやしたよ」
と言って、上着の胸ポケットから割れた何かを取り出して見せた。
それは麻雀の牌。
白・発・中の三枚だった。
「麻雀の勝負の時は、俺を助けねぇクセに。
こんな時にシャシャリ出て来やがって…」