彼、限定。

不意に彼の腕があたしの座席に回される。

少し長めの彼の髪が頬に触れる。

でもここで避けたりするのは変だから、息を殺して下を向いて。

ゆっくりと下がる車。

腕はまだあたしの後ろにある。

右手だけでハンドルを操作して・・・・・。

たったそれだけの事なのに、

まるで肩を抱かれてるようで、無駄にドキドキしちゃう。

トンッと小さな衝撃の後、止まる車。

するとククッと笑う声が聞こえて、


「なに緊張してんの?」

「――なっ、してな」


キスされた。

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