禁断の甘い声に抱かれて
「結愛、来たね」

 たった一言。

 藤堂先生の声を聞いたとたん。

 ぞくぞくっとした電流が、背中と子宮に走った。

 耳に心地よいヴァリトンの、声。

 目眩を起こしそうなほど素敵な先生の声が、もっと聞きたくて、わたしは、言った。

「もうすぐ卒業ですから。
 先生の最後の課外授業を受けたくて、頑張りました」
 
 先生は、ほほ笑むと、音楽室の出入り口に鍵をかけ、わたしを後ろから抱きしめた。

 そして、ささやく。

「毎日会っているのに、まだ足りないなんて。
 いけない子だね。動機が不純だ」
 
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