黒い翼


「なんで……今なんだよ」


あたしはシキの胸ぐらを掴む。


困惑が彼の目を染めた。


あたしは唇を噛んだ。


――分かってる


分かっているんだ。


シキにこんなことしても意味ないことくらい。


「京」


俯いているあたしの上の方から、声が降ってくる。


とても、悲しげな。


「ごめんな」


「……な…んの…」


なんでだ。


声が震える。


なんのごめんだ。
< 34 / 82 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop