黒い翼


ふと、足元見ると、血だらけになっている紫葵が倒れていた。


ズボンのすそに彼の血を思しきものがついている。


どうやら無意識にやってしまったらしい。


駄目だな、全く。


小さく息を吐いて、彼に背を向ける。


梗のことを考えると周りが見えなくなってしまう。


それだけ、好きなの。


分かる?


梗。


キミは僕を見て。


僕だけを見て。


他は何もいらない。


腕に僕の名前彫って、誓ったでしょう?


僕を見て。


梗。
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