黒い翼


それから彼はあたしを解放し、あたしは梗が好きな甘ったるい部屋から出た。


外の新鮮な空気を肺いっぱいに満たして、吐く。


体がまだ痛かった。


さて、これから彼をどうしようかと、いつもの旧校舎の屋上で悩んでいると、不意にどこからか誰かの血の匂いがした。


それも大量に。


その匂いと一緒に、かすかにシキの匂いも。


嫌な予感がして、あたしはその根源へ行く。


ぺちゃぺちゃと、液体をそそる音がする。


バキガリと骨を噛み砕く音がする。


そして目を瞠る光景。
< 67 / 82 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop