赫の守護〜無自覚溺愛吸血鬼〜

「仕事?」

予想していなかった言葉に首を傾げるキサラ。

ジュークはそんな彼女に恨めしげな視線を送ると、小さくため息をつきベッドから降りた。


そのまま何も言わずにセラの横を通り過ぎ部屋を出ようとしたジュークだったが、廊下の窓から漏れる朝日に眩しげに目を細め立ち止まる。

そのとき金の髪に光が反射し、キサラまで眩しく感じた。


(ジューク様の髪って、本当にキラキラしてる。……実は本当に太陽の化身だったりして)

ボーっとしながらそんなことを考えていると、セラがどこから出したのか真っ黒な日傘をジュークに差し出していた。

ジュークは「助かる」と言って日傘を受け取り開くと、その影に隠れるようにコソコソと部屋を出て行く。


「……」

(……太陽みたいだけれど、やっぱり吸血鬼なのよね)

日光を避ける様子に、半ば呆れながらキサラは思った。


 
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