赫の守護〜無自覚溺愛吸血鬼〜
わずか十六の小娘だ。

少し脅せば怯えて帰りたいと喚《わめ》き出すだろう。


そう予測した男はキサラの首に掛けていた手に力を込めた。

殺すわけにはいかないから少し手加減をと思うが、無意識に力が強くなってしまう。

自分は人ならぬ身でもあるため、手加減をしないとすぐに殺してしまうというのに。


かなり苦しかったのだろう。

キサラは眉間にこれでもかというほどシワを寄せ、すぐに目蓋を開き新緑の瞳で男を見た。
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