赫の守護〜無自覚溺愛吸血鬼〜
そのとき、キサラは自分が幸福感を抱いている事に気が付いた。

不運人生の中で、数える程しか感じる事が出来なかった幸福な気持ち。


ジュークはとんでもない不運をくれた人物だが、こんなに優しい気持ちになれる幸福もくれたのだ。


(あたしにとって、最悪で、最高の旦那様だわ)

可笑しくて、笑い出したくなる。


ベッドから降りて部屋を出て行こうとしていたジュークが名残惜し気に振り返る。

そんな彼に、キサラは飛び切りの笑顔を見せた。



赫《かがや》く太陽の彼が、好きだと言った新緑色の瞳を真っ直ぐに向けて。



END
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