君の声がききたい
「いたっ」


突然、頭を軽く何かで叩かれた。




「隼人?」

「よ」


あたしの頭をタオルで叩いたのは、幼なじみの筒井は隼人(つつい はやと)

隼人とは家が近所で、沙和よりも付き合いが長い。




「これから体育?」


隼人はジャージ姿で、タオルを首にかけた。



「うん。今日はサッカー」

「へえ、よかったね」

「ああ。俺の唯一の取り柄が、発揮できるぜ」


隼人はサッカーが大好き。

昔からそうだった。




「こんな足でも…サッカーができるってこと、みんなに伝えたいよ」

「そうだね」


隼人は義足がついた足を、ぶんぶん動かした。



隼人は小学校低学年のとき、交通事故で片足を失い、義足になった。

当時…義足にって、大好きなサッカーが出来ない辛さから、隼人はしばらく落ち込んでいたが…

あたしは幼なじみとして…友達として…

自分なりに隼人を励まして、支えてきた。


隼人は日に日に前向きになり、義足の大好きなサッカーの練習を始めた。


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