君の声がききたい
「奏…さっき女の子にアドレス聞かれてたでしょ?」




恵里佳が口をとがらせて言う。



「あの子誰!?」


美穂が俺にぐんと顔を近づけた。





「さぁ…アサミって言ってたけど・・俺はアドレス聞かれたから、教えただけ。」


「アサミだってよー、恵里佳。聞いたことないね〜」

「ムカつく〜あの女っ。」


恵里佳が舌打ちをする。




恵里佳には、何度か告られたことがある。

でも俺は、断っていた。


正直、恵里佳はかわいいし…スタイルだっていいし…モテるタイプ。

恵里佳を彼女にするのは、簡単なことだ…


だけど、今は別に彼女とかいらないし…

ぶっちゃけ恵里佳を、恋愛感情では好きにはなれないし。


中途半端な気持ちで付き合ってめんどくさいのは俺が無理だし…

だから、このまま友達でいるのがいい。






「そーいえば…奏、修也知らない?」


美穂が、携帯を眺めながら俺に聞いた。




「さっきそこで会って別れたけど。…あ、そうだ。お前ら今日CLUB行かね?チケット余ってんだ。修也も来るって言ってたし」

「本当ー?行く行く♪」

「私も〜♪」


「じゃあ、あとでメールするから…」


「わかった♪」

「メール待ってるネ」

「はいよ、じゃあな」


俺は恵里佳たちと別れ、またスタスタと歩き出した。
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