君の声がききたい

触れる心

沙和side


なにも聞こえない。

なにも耳に入ってこない…


でも景色は朝。

今は電車に乗ってる…

体がちょっと揺れる…


多分もう少しで、目的地に着く…

と、思うんだけど・・・





塚本 沙和 19歳


幼い頃から難聴で、

世間は私みたいな人を“聴覚障害者”と呼ぶ。




聞こえないのが当たり前。

情報は目に映るものだけ。


別に怖くない…

それが“普通”だから…





「……!」


電車の走るスピードが、だんだん遅くなっていくのがわかる…


やっぱりね。

もう着くんだ…


私は手すりに捕まりながら、ドアの前に立った。

しばらくすると電車は止まり、ドアが開くと、私は電車を降りて改札へ向かう…





゙――…゙―‥


改札を通って外へ出た時、ポケットに入っていた携帯が震えた。

携帯を出すと…メールが1件来ていた。




―――――――――
【ハル】
【Re:】

おはよー(・∀・∩)

いつものとこにいるよん☆
気をつけて来てね〜

ーENDー

―――――――――


メールの相手は、親友のハルからだった。

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