HERO
「美亜さん、朝ごはんできたよ」


「え?」



驚くのは当たり前だよ。


だって、今まで一度だって朝ごはんなんて作ってくれたことなかったのに。



なんだか、嫌な予感しかしないんですけど、わんこさん。



「ねえ、朝ごはん作ったから、代わりに夜ご飯作ってねとかなしだよ」


「え!何それ、そんなこと思ってないよ、これっぽっちも」



ご飯は自分の分は自分で用意する、ここに来たときに教わった決まり。


だから、今までみんな本当に自分の分だけを自分で用意してたのに。



なんだい、この待遇は。



「怪しい」


「酷いなー。言ったでしょ、美亜さんには、俺のこと好きになってもらわないと」



何それ、わんこのくせに、わんこのくせに!
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