HERO
なかなか返事をしない私に、わんこはインターフォンを押そうとしていた手をおろした。



「やっぱり、やめる?」



その返事もできない私。


だって、自分の中で答えがだせない。



そんな私の手を、わんこはギュッと握った。


びっくりしてわんこを見ると、やっぱりにこにこしてた。



「大丈夫、ちゃんと一緒にいるから」



バカじゃないのって思ったけど、ちゃっかり手を握り返してる私。


その後、インターフォンを押したのは、わんこじゃなくて私。



だって、何でもできる気がした、何も怖くない気がした。


わんこが、隣にいてくれるから。
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