アンバランスな手首

 それから毎日、私は彼の手首を盗み見している。
 それも絶対に気づかれないようにと、彼が仕事に集中している時を選んでなのだからたちが悪い。



 今も私の目には、少し上がった袖口から出た彼の手首が見えていた。

 ごくりと唾を飲む。

 彼の手首に、唇を寄せてみたい。
 そのごりっとした骨を、ゆっくりと口に含んでみたい。



 不適切な場所での、不適切な私の妄想。

 でも、止められない……。





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