激しく愛して執事様 SWeeT†YeN ss集

魔法をかけられたお姫様



───英国の朝は優雅で華やかだ。


 ブレックファーストの焼きたてのパン、マフィン、パンケーキにスコーン
、様々なフルーツを使い作られたジャムに、新鮮なバター、クロテッドクリーム。チーズにソテー、ソーセージ、ハム、焼き立てのベーコン、果物にフレッシュなドリンクが長いテーブルに溢れる。



「柏原、ミルクがたくさん入った、甘い紅茶を」

「かしこまりました。茉莉果お嬢様」



 だけど、豪華な朝食は彼女にとって興味はないようだ。可愛らしい小さなため息と、眠そうに目を擦る仕草で肘掛けにもたれて席についている。




 我が主(アルジ)紫音家ご令嬢、茉莉果お嬢様のマイペースさは何物にも左右されない。



 この国独自のブレンドされた葉に、ゆっくりとお湯を注ぎ入れると薔薇の香りが立ちこめる。


 しっかりと三分蒸らす。日本から持参した砂時計を反し、ティーポットの脇に置いた。


 茉莉果お嬢様は、皿に乗せられたスコーンを人差し指でコロコロと転がしている。


「お嬢様……不躾でございますよ。ここでは貴女はゲストなのですから」


 そう、俺たちは今、日本から遠く離れた英国スコットランドのエディンバラ(Edinaurgh)という地にやってきている。


 茉莉果お嬢様の父親は世界的に有名な作曲家。母親も、同じくとても有名なピアニストである。そして資産家でもある紫音家はこのエディンバラの地で開催される年に一度のフェスティバルに毎年招かれているのだ。




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